島田あけみ代表の挨拶に続き、講演に先立ち、結城幸司副代表率いるアイヌ・アート・プロジェクトにより歓迎の意を込めてパフォーマンスが行われました。トンコリの美しい音色と、力強い歌声と踊りに会場が一気に暖まりました。
講演会はベンサムさんによるマオリ語によるスピーチから始まり、お二人によるマオリ語の歌が会場に響き渡りました。
講演会は、「マオリ民族の文化復興とニュージーランド社会への貢献」と題して、お二人から、アオテアロア(ニュージーランド)でマオリが歴史的に経験してきたことと、そこから何を考えどのように行動していったかをお話頂きました。
講演会の主要なポイントは、以下の8点でした。
①私たちはマオリであり、アオテアロア出身であること
②イギリスの侵略と植民地主義の影響を知ること
③その歴史的な影響としての、アイデンティティ・文化・知識体系の損失を理解すること
④マオリが民族として生き残るために積極的な挑戦が必要であったこと
⑤変化はマオリの内側から起こらなければならないこと
⑥アイデンティティ・文化・知識体系を通しての復興を行うこと
⑦私たち全員よりも重要な人はいない、という考えのもと一つにまとまること
⑧世代を越えた恩恵のために世代間で一つになること
ベンサムさんは、文化喪失についての意識化が重要であることを強調しました。
マオリ語の復興では、マオリ語が生きていて時代とともに変化するものであることが重要だと説明されました。テクノロジーを駆使していかなければならない現代において、マオリ語もまた、新しく作られ、変化していくことを学びました。
また、ケイトさんは、マオリは決して一枚岩ではないことに触れ、多様な人々がいるように、解決策も多様でなければならないと強調されました。同じゴールにも様々な道がありうることも、前向きな気持ちがあればその人の進む道で良いことも話されました。そして、たとえ話として、行動を起こし、変革を起こそうとするときに、その使命は理解するけれどすぐにはそのバスに乗らない人もいるでしょう、自分はそのバスではないと言う人もいるでしょう、ただそのようなときには同じ信念を持っている人と集まってくださいとメッセージを贈られました。
最後にケイトさんは、自分たちはただマオリであるだけで、マオリのふりをしているわけでは決してないと語り、「人間であるということの価値を私は信じています」と話されました。
お二人のお話には、マオリが経験してきたことや、失敗と成功から学んだことのみならず、心からのアイヌ民族へのエールが含まれていました。ケイトさんとベンサムさんは、アイヌ語を復興することは必ずできると確信しているとの強い希望の言葉をいただきました。
マオリの先祖の歴史、知識が詰まったマオリ語の歌によってお二人のお話が締めくくられました。
会場からは活発な質問が寄せられ、ベンサムさんとケイトさん双方からさらにたくさんのコメントをお聞きすることができました。
最後には、小山洋子さんからマオリゲストのお二人にアイヌ文様の刺繍が施されたマタンプシ(はちまき)とテクンペ(手甲)が贈られ、小川早苗さんからも刺繍の本が贈られました。2012年にアオテアロアを訪問した際にマタンプシとテクンペを製作・寄付してくださった菊池照子さんもマオリゲストのお二人に挨拶していただくことができました。結城幸司副代表による終わりの挨拶を持って、非常に深い学びと、何よりも希望をマオリゲストのお二人から頂き、講演会を終了しました。
雨の中会場まで足をお運びくださったみなさま、本当にありがとうございました。
講演会の短いムービーレポートです。御覧ください。
https://youtu.be/nfQ4XiQdIew
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